僕が初めて旅をした二十歳そこそこの頃に、インド帰りの旅人たちから幾度となく噂を聞いた、宗教都市バラナシ。生と死が混在し、人生観が変わってしまうディープな町、そんなふうに何度も噂聞いた。当時東南アジアを旅していた僕にとって、インド帰りの旅人は何か「それっぽい」雰囲気を纏っているように見えて、それはそれは憧れた。よく分からないジェラシーを感じたし、よく分からない旅人ヒエラルキーみたいなものの上位に君臨しているように思えた。